私たちの思い
「食べることはいのちそのもの」「食べることを大切に、きちんとすることが生活の基本。」これらは7人の子育てをしているうちに身にしみた、私がとても大事にしている言葉です。
最初からそう思っていたわけではありません。子育てと商売の忙しさの中で、とてもそれどころではないと「どう手間をかけずに楽にできるか」を追い求めていました。食べ物をおろそかにすると生活が崩れていきます。7人の子育ての中では、いろいろと子どもたちに辛い経験をさせてしまいました。毎日の食事を整え、生活のひとつひとつを大事にすることの大切さを、体をはって教えてくれたのは子どもたちでした。おいしいものを食べれば、人は元気になります。おいしく食べることは、生きる力を与えてくれます。そして笑顔が自然と生まれてきます。食は一番伝わりやすく、心の扉を優しく開けてくれます。
「命を頂き、命に変える」・・食にたずさわるということは本当に大事な仕事だということを、子育てと数多くいらして下さるお客様が教えてくださいました。
味の記憶は体が覚えていますから、いつまでも心に残るようです。「お母さんのあれが食べたい。」と我が家の味を求めて子どもが戻ってくるように、お客さまもまた「あの味が忘れられなくて。」と遠くからでもお越しくださいます。忙しいけれど、お子さんにおいしくて安心できるものをしっかり選んで食べさせることで、子どもさんへの愛情をかけていらっしゃるお母さん、お父さん方が多くいらっしゃいます。毎日、大勢の方の賄いに手間をかけていくのは大変ですが、時間をかけ、工夫をして、守ってきた味は25年も経つと、「この下町になくてはならない味」と言って頂けるようになりました。食材のいのちが生かされたおいしい食事が、皆さまの健康と生きる力、そして家族の輪につながっていきますように。それが私たち夫婦の願いです。